eコラム「北斗七星」
- 2018.03.01
- 情勢/社会
公明新聞:2018年3月1日(木)付
さまざまな事情により、親と一緒に暮らせない子どもが、全国で約4万人いる。国連のガイドラインは、健全な成長のために、こうした子どもたちは里親のもとや養子として、家庭の中で暮らすことが望ましいとする。幼い子どもほどそれは必要度が高い◆日本では、大半が乳児院や児童養護施設で暮らす。密接なつながりを里親と築いて育つ子どもたちは、全体の15%ほどに過ぎない。大半が里親のもとや、養子縁組によって家庭の中で暮らす諸外国とは、まったく逆◆日本も半数以上を里親に委託する目標を掲げているが、なかなか増えない。しかし、ある調査によると、6%超の人が里親になってみたいと答えた。100万世帯を超える潜在的な里親候補がいるということだ◆しかも興味深いのは、「里親を必要とする子どもが3万人いる」「(養育費や里親手当が支給されるので)裕福でなくても里親になれる」といった関連情報を知らせると、「なってみたい」という人が12%に倍増すること(日本財団調べ)。より積極的な広報活動が必要とされていることが、明らかになったとも言える◆どんな親も戸惑い、手探りしながら子育てをしている。それを支えるのは、深い愛情と周りの理解。その理解をもう一歩進めるためには、政治の後押しが不可欠だ。(繁)