eコラム「北斗七星」

  • 2018.03.02
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年3月2日(金)付



穏やかな風光、優美な景観と出合った幸運な異国の先人たちがいた。ドイツの地理学者・探検家でシルクロードの命名者、リヒトホーフェンは明治維新の頃、瀬戸内海を訪れ、「これ以上のものは世界の何処にもないであろう」と日記に綴っている◆一方、朝鮮の外交使節団として徳川幕府に派遣された朝鮮通信使。一行は瀬戸内航路の鞆の浦(広島県福山市)において、日本一の景色と愛で「日東第一形勝」と書き残した◆国連教育科学文化機関(ユネスコ)は昨年秋、重要な歴史的文書などの保存を目的とする「世界の記憶」(世界記憶遺産)にこの書も含めた「朝鮮通信使に関する記録」を登録◆世界に類のない多島美を誇るこの地では、喜びの中、瀬戸大橋開通30年の佳節を4月に迎える。そして公明党は広域的な振興策を進める観点から、沿岸の議員でつくる「瀬戸内海フォーラム」を設置し、島々を巡るクルーズ船の誘致や港湾整備、通信環境の充実などに力を注いできた◆地域の景観保全と同時に忘れてはならないのは、文禄・慶長の役による戦乱を経て、当時の日朝は対等な善隣友好の国交関係を築く努力を続けたことだ。信義を重んじた通信使はその象徴であり、約200年にわたり、東アジアに平和をもたらした歴史遺産を次世代に継承していきたい。(照)

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