e都市部の大規模水害 円滑な避難は自治体間の連携で

  • 2018.03.08
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月8日(木)付



超大型台風や高潮などで大規模な水害が都市部を襲った場合、住民をいかに避難させるか。その対策が各地で加速することを期待したい。

政府の中央防災会議の作業部会は、大規模水害時に複数の自治体をまたいで避難する「広域避難」の考え方に関する報告書をまとめ、小此木八郎防災担当相に提出した。

避難計画の策定や避難勧告の発令は市区町村単位で行うことが基本となっている。しかし、被害が広域にわたる場合、自治体単独で対応するには限界がある。台風が大型化し、ゲリラ豪雨が頻発する中、この課題にどう取り組むかは喫緊の課題といえよう。

報告書では、主に東京や大阪、名古屋など三大都市圏の海抜ゼロメートル地帯を想定し、自治体同士が協力して広域避難に必要な計画を策定できるよう具体案を提示している。

三大都市圏では、膨大な居住人口に加え、浸水が想定される地域も広大であることから、大規模水害時には数十万人規模の避難者が発生すると見られている。

しかし、多くの避難者が短時間に集中すれば、道路の混雑や渋滞を招き、逃げ遅れる恐れがある。また、避難者の規模が避難先となった自治体の受け入れ能力を超えるケースも考えられる。

このため報告書では、渋滞地点の予測や電車の運行時間などから円滑な避難に必要な時間を考慮し、適切なタイミングで複数自治体と共同で避難勧告を発令することの重要性を強調している。

また、あらかじめ避難者の受け入れ先を確保するため、浸水予想地域において、全ての部屋が浸水する恐れがあり避難が長期にわたる住宅や、入院患者ら要支援者を把握しておくことも求めている。

いずれも、広域避難計画を策定する上で欠かせない視点といえよう。

計画が実効性を確保するには、関係する自治体の間で協力体制を構築することがカギとなる。

この点、報告書が提案するように、市区町村や国の機関などが参加する協議会の設置を進めるべきである。とりわけ、各市区町村の取り組みを調整するには都道府県の役割が重要となることを強調しておきたい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ