e18歳成人 若い消費者守る教育の拡充を
- 2018.03.16
- 情勢/解説
公明新聞:2018年3月16日(金)付
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が閣議決定され、今国会に提出された。成立すれば2022年4月から施行される。成人年齢の変更は、明治時代に20歳とされて以来の大改革となる。
成人年齢の引き下げを通じて若者の社会参画を促す意義は大きい。既に多くの国では「18歳成人」が主流である。
結婚できる年齢については、男女共に18歳で統一する。現在の規定は「女性の方が心身の発達が早い」などを理由に女性を16歳からとしているが、男女平等と社会的・経済的な成熟度を重視する観点から、2歳引き上げられた。
飲酒や喫煙の解禁年齢は、早い時期から始めるほど身体に悪影響を及ぼすとの懸念から、20歳を維持する。公営ギャンブルも、依存症などを憂慮し20歳に据え置いた。
この「18歳成人」は妥当な方向ではあるが、成人年齢引き下げで、大きな焦点となるのが、若い消費者をどう保護するかである。
18歳成人が実現すれば、18、19歳でも、保護者ら法定代理人の同意なしにローンやクレジットカードなどの契約を結べるようになる。半面、現在のように未成年であることを理由に契約を取り消すことはできなくなる。
実際、国民生活センターへの消費者被害の相談件数は、現在の成人年齢である20歳を境に急増。「未成年の取り消し」が被害を防ぐ役割を果たしているとの指摘もある。
この点、注目すべきは消費者教育の拡充という視点だ。学校現場などで消費者契約に関する基礎的な知識を学ぶことは、将来の無用なトラブルを回避し、責任ある大人として行動する上で欠かせない。
公明党は消費者教育の拡充を積極的に推進している。政府は、公明党の主張を受け、4月にも法相を議長とする省庁横断の検討会を立ち上げる方針を決めた。消費者保護のあり方など対応策を幅広く協議していく。
その一つとして、同検討会は、消費者庁作成の高校生向けの教育教材を活用し、20年度までに全都道府県の全高校で消費者教育の授業を実施する方向で議論する。授業時間をどう確保するかも含め、先進事例の研究・周知など行政の後押しを期待したい。