e「18歳成人」法案の課題と対応
- 2018.03.19
- 政治/国会
公明新聞:2018年3月19日(月)付
消費者教育の充実 急げ
悪徳商法など被害拡大防止に対策
国重徹 党法務部会長に聞く
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が13日、閣議決定され、国会に提出された。成立すれば、2022年4月に施行される。明治から続く「大人」の定義を変える大改革のため、さまざま指摘されている課題への対応などについて、公明党法務部会長の国重徹衆院議員に聞いた。
より若者が活躍できる社会に必要
――公明党が成人年齢を18歳に引き下げる民法改正案を了承した理由は。
国重徹法務部会長 少子高齢化が急速に進む中、成人年齢の引き下げは、若者の社会参加の時期を早め、大人としての自覚を高める意義があります。
英仏や米国の大半の州のほか、ロシアや中国などでも18歳を成人年齢と定めており、18歳成人は世界の主流です。
法相の諮問機関である法制審議会が09年に成人年齢などを18歳に引き下げるよう答申してから、既に憲法改正の国民投票権や選挙権を得る年齢は18歳に引き下がっており、成人年齢の引き下げは、大きな政策の方向性からも妥当だと判断しました。
公明主張受け、政府が検討会 自立支える仕組みなど
――成人年齢を引き下げると、18歳でも親の同意なしに高額な契約が可能となるため、悪徳商法などの消費者被害が拡大するのではとの懸念もあります。
国重 だからこそ、消費者被害を防止するための施策が重要です。政府は、社会経験が少ない若者などを対象として、契約取り消しの範囲を拡大させる消費者契約法の改正案を今国会に提出しました。もっとも、これでカバーできる範囲は限られており、消費者教育の強化も必要です。
また消費者被害の防止にとどまらず、若者の自立を支える仕組みなど、成人年齢の引き下げに応じた施策を広く講じていく必要があります。
公明党の提案、強い主張を受けて、政府はこのほど、法相を議長に、内閣官房、文部科学省、消費者庁など関係省庁が、横断的に成人年齢の引き下げに向けた環境整備に取り組む検討会を設置することを決めました。既に昨年3月にも、公明党法務部会と民法・少年法等成年年齢の検討に関するプロジェクトチームとして成人年齢の引き下げに際し、必要な施策を政府に要望しており、その指摘も踏まえて、政府は今後、具体的に検討していくこととなります。
――18歳で「成人」となることで大学受験と成人式が重なることになるのですか。
国重 若者を混乱させるような事態は絶対に起こしてはなりません。成人式の時期やあり方についても、政府は今回設置する検討会で議論を進めることにしています。
少年法適用年齢の引き下げは慎重に
――今回、飲酒や喫煙、公営ギャンブルの解禁年齢は20歳を維持します。一方、少年法の適用年齢については、法相の諮問機関である法制審議会が、18歳に引き下げるべきかどうか引き続き検討しています。
国重 少年法の保護処分は18歳、19歳を含む少年の立ち直りや再非行防止に効果を発揮しています。公明党は、少年の可塑性(変化する可能性)を重視するという立法趣旨を踏まえ、少年法の適用年齢の引き下げについては慎重であるべきという考えです。