eコラム「北斗七星」
- 2018.03.22
- 情勢/社会
公明新聞:2018年3月21日(水)付
難解な宇宙の世界を、私たちにこれほど分かりやすく語ってくれた人物はいないだろう。今月14日に亡くなった宇宙物理学者、ホーキング博士。その著書を手にして、宇宙の起源やブラックホールの謎に興味を抱いた人も多いに違いない◆21歳で難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症。余命2年と告げられ、声も失った。だが、50年以上も病と闘い、研究生活を続けた不屈の精神には驚嘆させられる。2012年のロンドン・パラリンピックの開会式では、「人生がいかに困難でも、必ず成し遂げられることがある」と選手たちにエールを送った◆18日に閉幕した平昌パラリンピックでは、日本選手が過去最多のメダルを獲得する活躍に沸いた。スノーボードのバンクドスラロームで優勝した成田緑夢選手は5年前、五輪をめざしての練習中に大けがを負い、左膝から下の感覚を失っている◆医師からは「スポーツは何もかもできなくなる」と告げられたが、見事に再起し、栄光をつかみ取った。選手一人一人、それぞれに挑戦のドラマがあり、勇気と感動を与えてくれる◆2年後の東京パラリンピックでは、さらに多くの選手たちの活躍が期待されよう。同時に、障がいの有無を超えて、誰もが個性や能力を発揮できる社会を築く最大の機会として、大成功を期したい。(千)