e保育所の感染症対策 正しい知識がリスクを減らす
- 2018.03.22
- 情勢/解説
公明新聞:2018年3月21日(水)付
厚生労働省は、保育所での感染症対策のガイドラインを約6年ぶりに見直す。既に有識者検討会で大枠が決まっており、4月にも都道府県などを通じて周知される。
保育所では、昼寝や食事、集団での遊びなどで子ども同士が接触する機会が多く、飛まつ感染や接触感染をどう防ぐかが常に大きな課題となっている。
このため厚労省は、保育士らが医療関係者と連携して対策に取り組む際のガイドラインを定めている。保育所で子どもたちの健康を守るための重要な指針としての役割は大きい。
今回の見直しで注目されるのは、最新の医学的知見を反映したことや、地球温暖化に伴う環境の変化に対応している点にある。
例えば、血液を介した感染への注意だ。血液には肝炎ウイルスなどの病原体が潜んでいる可能性があるため、素手で扱うべきではないというのが今では常識となっている。ところが、医療機関に比べ保育所では、血液に注意するという習慣が浸透していない面があるという。
そこで新しいガイドラインでは、子どもが出血した際には手袋を着用するなどして素手で触らないようにし、血液が付着した物は消毒するといった具体策を強調している。
併せて、ウイルスや細菌は皮膚の傷口から入ることから、ばんそうこうやガーゼで傷口を覆うよう呼び掛けている。
また、蚊を媒介にしたデング熱をはじめ、温暖化の影響によると見られる感染症への対策としては、水がたまって蚊が発生しやすい古タイヤや鉢植えの水受け皿を使用しないよう求めている。
ただ、保育士は医療の専門家ではない。
ガイドラインの周知に当たっては、どう分かりやすく伝えるかにも目配りすべきである。この点、新しいガイドラインが、ポイントを箇条書きにしたり図表を多用するなど工夫を凝らす方向であることは評価できる。
最新の情報を保育士らに正しく伝え、理解を深めてもらうことが、感染症のリスクから子どもたちを守る第一歩であることを重ねて強調しておきたい。