eプーチン氏再選 低迷する経済の改善が課題に
- 2018.03.22
- 情勢/解説
公明新聞:2018年3月22日(木)付
ロシアのプーチン大統領による政権運営が、いよいよ総決算の時期を迎える。そのかじ取りを注視したい。
18日のロシア大統領選で、現職のプーチン氏が再選を果たした。最終的な選挙結果の公表は29日だが、ロシア中央選管によると、開票率99.94%の時点で同氏の得票率は約77%と圧勝。投票率も67%を超え、前回を約3ポイント上回り、国民からの支持が盤石であることを示す結果となった。
任期は2024年まで。00年の初当選から、首相時代も含めると実質24年間という長期にわたり、権力を握り続けることになる。連続3選を禁じるロシア憲法の改正を「計画していない」と表明しているプーチン氏にとって、これが最後の任期となる。
プーチン氏は"強いロシア"を国民にアピールすることで求心力を高めてきた。今回も、ウクライナ南部のクリミア半島を、軍事力を背景にロシアに編入してから、ちょうど4年となる18日を投票日に設定し、国民の愛国心を鼓舞することで支持につなげたとされる。
しかし、このクリミア半島の編入は欧米諸国などの制裁を招き、結果、ロシア経済は低迷している。ロシアの16年の国内総生産(GDP)は1兆2800億ドルで、米国の約14分の1、中国の約9分の1にまで落ち込んでいる。
プーチン氏は1日、内政や外交政策を説明する年次教書演説で、米国のミサイル防衛を無効化する新型の戦略核ミサイルを開発中であることを誇示し、欧米諸国との敵対もいとわない構えを見せた。だが、こうした兵器開発には莫大な軍事費を要し、経済を圧迫することは明白だ。
ロシアでも数少ない独立系調査機関として、各国から信頼されているレバダ・センターによると、6割近くのロシア国民が「平和的な外交政策の推進」を求めているという。プーチン氏は対外強硬路線をやめ、国民1人当たりのGDPを1.5倍にし、人口の約13%を占める貧困層を半減するといった公約の実現に全力を挙げるべきだろう。
日本はこれまで築いてきたロシアとの友好関係を基に、現在進めている経済協力を促進し、領土問題の解決につなげていきたい。