eコラム「北斗七星」

  • 2018.03.26
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年3月24日(土)付



新しい季節のはじめに/新しい人が集いて...さわやかな「今ありて」の調べとともに昨日、春の甲子園が開幕した。曲の作詞者は故・阿久悠さん◆その阿久さんの連載『阿久悠 書く言う』(産経新聞)は面白かった。「つまらない仕事でも面白がって工夫すると必ず誰かが見ていてくれる」と見出しが付いた回の切り抜きが手元にある◆「サラリーマンになった当初、新人のぼくに回ってくる仕事は、成功の可能性の薄い、意欲の示しようのないものばかり」と言う阿久さん。だから「つまらない仕事を、無駄な努力を承知で面白いものにした」◆「すると、つまらない仕事の工夫が面白くて仕方なくなった」。そして「ぼくの未来は、その無駄が開いてくれた」。「見ていてくれた人が何人もいたのである。その人たちが、ぼくを新しい仕事へと連れて行ってくれた」のだ◆作家の故・中野孝次さんも同じようなことを言っていた。「与えられた環境に不平を唱えていても始まらない。それでは不平家になるだけだ」。そうはいっても努力してもうまくいかず、友に先を越されることもあるかもしれない◆そんなとき思い出してほしいと中野さんが引く言葉は<疲れたら憩むがよい、彼等もまた、遠くはゆくまい>(作家・尾崎一雄)。さあ4月。頑張れ、新人!(六)

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