e地域おこし協力隊 定住の促進へ知恵を絞りたい
- 2018.03.26
- 情勢/解説
公明新聞:2018年3月24日(土)付
地域振興に貢献したいという気持ちにどう応えるか。受け入れ側の一層の努力に期待したい。
主に都市部の住民が過疎地域に一定期間移り住んで活動する「地域おこし協力隊」。2017年度の参加者は約5000人に上り、受け入れ自治体は1000近くに達する。
制度がスタートした09年度の参加者は89人、受け入れ自治体は31だっただけに、その急増ぶりは明らかだ。政府が「地方創生」を打ち出した14年度あたりから増加傾向に拍車がかかったという。
隊員の約7割は20代と30代が占める。未来を担う若者が人口減少や高齢化に直面する地方に目を向け、力になろうとする姿は頼もしく見える。
今年は制度発足から10年の節目に当たる。さらなる発展に向け指摘しておきたいのが、任期後の定住促進である。
地域おこし協力隊の任期はおおむね1年から3年だが、受け入れ自治体が期待するのは、任期を終えても地域に住み続けて貢献してもらうことだ。しかし、定住率は6割程度にとどまっている。大きな理由として挙げられているのが、隊員の意欲と受け入れ側の思惑のミスマッチである。
自治体が募集するメニューは大きく二つに分かれる。隊員が集落に入り込み、課題を掘り起こして解決に取り組む"地域型"と、農業支援など具体的な取り組みがあらかじめ決められている"ミッション型"だ。
このうち、後者を採用する自治体が増えている。しかし、隊員にとっては、何をするのかイメージしやすい半面、「行政の下請け仕事をしているようだ」「地域に溶け込みにくい」といった落胆を招く要因にもなっているという。この点に手を打つことが急がれる。
まずは、隊員の意欲を大切にすることだ。ミッション型であっても、行政や地域コミュニティーに幅広く関わり、業務の改善を提案できる仕組みなどを検討してはどうか。
任期後の就職先をはじめ隊員のさまざまな相談に応じる態勢も強化すべきである。電話やメールで相談を受け付ける総務省の委託事業もあるが、これを都道府県レベルで行うことも考えられよう。