e受動喫煙対策の強化
- 2018.04.02
- 情勢/解説
公明新聞:2018年4月1日(日)付
答える人=桝屋敬悟さん 党厚生労働部会長(衆院議員)
2020年東京五輪・パラリンピックに向け、たばこの受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案が現在、衆院で審議されています。同法案の意義やポイントを公明党厚生労働部会長の桝屋敬悟衆院議員に聞きました。
健康増進法改正案に盛り込まれた規制内容は? 男性
学校や病院は「原則敷地内禁煙」。事務所や飲食店などは「原則屋内禁煙」に 桝屋
男性 受動喫煙とは何ですか?
桝屋 たばこを吸わない人が、他人の喫煙で煙を吸わされることです。火がついたたばこの先から立ち上る副流煙には、特に有害物質が多く含まれています。受動喫煙により少なくとも年間1万5000人が、がんなどで亡くなっています。
ロボ これまでの対策は?
桝屋 15年前に制定された健康増進法では努力義務となっていましたが、飲食店や職場などで受動喫煙に遭遇したとの声はいまだ多くあり、対策は十分とは言えない状況でした。2020年東京五輪・パラリンピックで国際社会が推進する「たばこのない五輪」を実現するためにも、より実効性の高い対策を講じる必要があります。
男性 法案の内容は?
桝屋 まず、学校や病院などは、屋内禁煙にとどまらず「原則敷地内禁煙」としています。その他の多くの人が利用する施設については「原則屋内禁煙」とし、喫煙専用室でのみ喫煙が可能です。違反者への罰則も盛り込みました。法案が成立すれば、19年夏ごろから学校、病院などで施行され、20年4月1日から全面施行されます。
ロボ 小さな飲食店では客足に影響があるのでは?
桝屋 そうした店が喫煙専用室をすぐに設置することは難しいので、公明党も主張し、規制に一定の例外を設ける経過措置を規定しました。具体的には、(1)既存店(2)個人または資本金5000万円以下の中小企業(3)客席面積100平方メートル以下――が要件です。また、店頭などに喫煙できることを表示する必要があります。
自治体も独自対策に動いている。公明党の対応は? ロボ
地方議員とも連携し、さらなる規制強化を推進します 桝屋
男性 例外対象の店はどのくらいありますか?
桝屋 現状では全国の飲食店の55%程度が対象になる見込みです。ただし、新規開設の店は例外にならないため、原則屋内禁煙の店は年々増えていくことになります。
ロボ 喫煙可能な飲食店で働く未成年の従業員は、受動喫煙を避けられないのでは?
桝屋 法案には喫煙できる場所に20歳未満を立ち入らせてはならないと明記しました。保健所が適切な指導などの役割を果たすことを期待しています。
男性 「加熱式たばこ」の扱いはどうなりますか?
桝屋 紙巻きのたばこと同様、施設に応じた規制が行われます。ただ、健康への影響が明らかになっておらず、原則屋内禁煙の施設では、加熱式たばこ専用の喫煙室で飲食しながら吸うことが認められます。
ロボ 公明党の取り組みは?
桝屋 20歳未満や妊婦、患者への配慮に加え、飲食店従業員への対策、小規模飲食店への支援などを政府に訴えてきました。加熱式たばこについても、健康への影響を早急に調査し必要な措置を講じるよう政府に求め、法案に国や自治体の責務が盛り込まれました。
ロボ 東京都では4月から、子どもの受動喫煙防止条例が施行されました。
桝屋 今回の法改正は、あくまでも国としての最低限の規制です。公明党は地方議員とも連携し、各自治体でさらなる規制強化を推進していきます。