eコラム「北斗七星」

  • 2018.04.04
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年4月4日(水)付



1890年のきょう、後に旧制五高(現熊本大)の教壇に立つ小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が、日本の土を踏んだ。満開の桜を見て、「ここで死にたい」と語ったという◆欧州、米国、日本で3分の1ずつを生きた作家を捉えたのは、桜だけではなかった。八雲は、日本人が多くの自然災害を経験した歴史を踏まえ、「素晴らしい回復力、苦難に際しての見事な忍耐力を称賛すべき」(『地震と国民性』)と述べた。作品の一つに、幕末の安政南海地震で村人たちを救った濱口梧陵をモデルにした『生き神』がある◆津波が迫る中、梧陵は村人にどう危険を知らせるか考えた。今日のような防災無線はない。梧陵は刈り取ったばかりの自分の稲むら(稲の束)に火を放ったのだった。燃え盛る火を見た村人たちは慌てて駆け付け、事態を知った。1人の犠牲者も出なかったという◆人々への奉仕を第一に考える公明党地方議員の姿勢にも通じよう。熊本県では、4万人近くが仮設住宅などで仮住まいする。公明議員は、自身が自宅損壊などさまざまな課題を抱えながらも、住民の生活再建や"終の棲家"確保に心を砕く◆熊本地震からもうすぐ2年。八雲が讃えた回復力と忍耐力が一段と求められる。「ここで死にたい」と思えるような、ふるさとの再建を加速させたい。(也)

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