e北朝鮮への制裁 国際社会との共同歩調さらに

  • 2018.04.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年4月6日(金)付



北朝鮮が突如、対外融和路線を強調し始めたことで、朝鮮半島情勢が大きく動き出そうとしているように見える。

特に、5月末までに米朝首脳会談が行われる運びとなったことが注目されている。これに先立ち、安倍首相が訪米。今月17、18日の両日にトランプ米大統領に会い、核・ミサイル開発の放棄に加え、日本人拉致問題も米朝首脳会談で取り上げるよう、直接要請するという。今月27日には、韓国と北朝鮮の南北首脳会談も開かれる。

北朝鮮の態度の変化は、国連安全保障理事会(安保理)で採択された決議に基づき、日本や米国など各国が実施している厳しい制裁に耐えられなくなっているからだろう。

とりわけ、北朝鮮の最大の貿易相手国である、中国による制裁の効果は大きい。中国税関総署が3月23日に発表した統計によると、今年1月から2月までの北朝鮮との貿易総額は、前年の同時期と比べ、57.9%も減少したというから驚きだ。

北朝鮮は今のところ、融和的な姿勢を強めているが、非核化に向けた具体的な行動を何一つ起こしていない。国際社会は一致団結し、制裁を継続することで北朝鮮への圧力を維持していく必要がある。

この点、日本政府が今月1日、外務省に「国連制裁室」を新設したことは、国連や各国と足並みをそろえて制裁を実施していく上で、非常に重要である。

実は、これまで、安保理決議の解釈で、日本政府と国連の解釈が一致しないことがあった。

例えば、東京に本社を置く日用雑貨チェーン店が昨年4月、北朝鮮の首都、平壌に店舗を開設した。

これに対し、安保理の北朝鮮制裁委員会は、同店が扱う化粧品やイヤホンなどが制裁決議で禁じている物に当たる恐れがあると調査を実施している。日本政府が、日用雑貨店の北朝鮮への進出を制裁違反としていなかったため生じた事態である。

新設された国連制裁室では、国連や他国政府が制裁決議の文言をどう解釈し、制裁を実施しているのか調査・研究を進めるという。これを日本の制裁実施態勢の強化につなげていくべきだ。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ