e団地の再生 空き家で高齢者・子育て支援を

  • 2018.04.09
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年4月7日(土)付



国土交通省は2018年度から、低廉な家賃で住める公的賃貸住宅の空き家を、高齢者や子育て世帯の支援施設として活用するための補助制度を開始した。

少子高齢化が進む中、「団地」に活気を取り戻す方策として期待したい。

高度経済成長期を中心に各地に整備された公営住宅には、多くの若い夫婦が入居したが、その子どもが成長して独立した後、残った入居者は75歳以上の高齢者となっている。かつて子どもたちのにぎやかな声が響いた"ニュータウン"が"オールドタウン"となっているとの指摘は多い。

高齢の入居者をどう支えるか。団地に活気を取り戻すには何が必要か。全国の公営住宅の多くが今、こうした課題に直面している。

そこで国交省は、空き家を活用することに着目した。

具体的には、事業者が公営住宅の空き家を利用して、高齢者支援施設や子育て支援施設を開設する場合、改修費用を国と地方自治体が半分ずつ補助する。高齢者が暮らしやすい環境の整備と、子育て世帯の入居を促して団地の活性化につなげるという点で、時宜にかなった取り組みといえよう。

このうち高齢者支援を例に挙げると、訪問介護施設や住民の交流場所の設置が想定される。さらに、入居者が一定の時間を超えても動きが見られない時に見守り拠点に警報を発する人感センサーの設置費用や、耐震改修費なども補助の対象になっている。

子育て支援に関しては、3歳未満児を対象にした定員が6人以上19人以下の小規模保育施設のほか、幼稚園や保育所に通っていない子どもらのための一時預かりサービス拠点などの設置が容易になる。

いずれも公営住宅の空き家程度のスペースがあれば運営できる事業だ。国や自治体は、制度の積極的な活用を事業者に呼び掛けてほしい。

公営住宅の中には既に、自治会と社会福祉協議会が連携し、空き家を「福祉サロン」に改修して入居者の交流の場にしたり、NPOなどの協力を得て高齢者向けのショートステイ(宿泊型)サービスの拠点を開設した所もある。

新たな制度で、こうした取り組みも後押ししたい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ