e残業時間 罰則付き上限
- 2018.04.09
- 政治/国会
公明新聞:2018年4月7日(土)付
働き方改革法案が閣議決定
同一労働・賃金や健康確保強化
政府は6日午前、今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案を閣議決定した。公明党が主張してきた罰則付きの残業時間の上限規制や同一労働同一賃金への規定整備のほか、高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)の創設などが柱。
法案のポイント
▽残業時間の上限は原則月45時間、年360時間。繁忙期などの特例でも、単月100時間未満(休日労働含む)、2~6カ月平均80時間(同)、年720時間に規制
▽事業者による労働時間の把握を義務化
▽勤務間インターバル制度の普及促進を事業者に要求
▽一定の有給休暇を取得させることを事業者に義務付け
▽高度プロフェッショナル制度の創設
▽不合理な待遇差を禁止する同一労働同一賃金を適用
残業規制は月100時間、年720時間の上限を設定。従来は労使が合意すれば何時間でも残業できたが、過労死や過労による自殺が後を絶たないため、労働基準法に初めて上限を明記し、違反した場合は罰則の対象とする。
過労死の防止に向けては、公明党の提案で、企業に対し、終業から始業まで一定の時間を空ける勤務間インターバル制度の普及促進を求めるほか、労働者に有給休暇を取得させることも義務付ける。正社員と非正規社員の格差是正に向け、不合理な待遇の格差を禁止する同一労働同一賃金も進める。
高プロは残業代を除く年収が1075万円以上の労働者が対象となる見通し。勤務時間に縛られず自由に働けるが、残業代や深夜・休日手当は支払われない。休日を年104日以上、4週間を通じて4日以上にするといった健康確保措置を企業に義務付ける。
一方、裁量労働制を巡る厚生労働省の調査データの不備により、当初案にあった同労働制の対象拡大は削除された。
その上で、法案では、公明党が3月15日に加藤勝信厚労相へ申し入れた要望内容に沿う形で、現行の同労働制を含む労働者の健康確保措置の実効性を確保する観点から、事業者が「省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない」と明記するなどした。
法案に盛り込まれた多くの項目は2019年4月に施行する。ただ、中小企業は対応に時間がかかるため、残業規制を20年4月、同一労働同一賃金を21年4月に、それぞれ適用を遅らせる。同一労働同一賃金は大企業でも20年4月から実施する。