eコラム「北斗七星」
- 2018.04.12
- 情勢/社会
公明新聞:2018年4月12日(木)付
日本人で最初にジーンズをはいたのは誰か。戦後、GHQとの交渉役だった白洲次郎との説があるが、確かな根拠はない。しかし、ジーンズが誕生した19世紀のアメリカには、ある日本人がいた。ジョン万次郎である◆1848年、米カリフォルニアで砂金が発見され、ゴールドラッシュが始まった。無人島から捕鯨船に救出されて米国に渡っていた万次郎も、帰国費用を稼ぐため金の採掘に従事。ジーンズは、当時の金鉱労働者の作業ズボンから発展したものだという◆万次郎の出身地、高知県土佐清水市では1日、「ジョン万次郎資料館」が改装オープン。関連企画として、万次郎が生きた時代の最古級ジーンズの要素を取り入れた「ジョン万デニム」を製作し、限定120着で受注生産する◆ちなみに金採掘で成功した者は、ほんの一握り。殺到した大多数の人が抱いた大富豪の夢は、幻と散った。その一方、シャベルやバケツなど金鉱現場の必需品を大量に仕入れて売るビジネスで富を築いた者も。ジーンズの元になった丈夫な作業ズボンの開発も成功例の一つだが、共通しているのは、現場のニーズをいち早くつかんだことである◆公明党が進める「100万人訪問・調査」運動も同様だ。生活者目線で新しい現場のニーズをつかみ、次の政策実現に生かしていきたい。(祐)