e米FB情報流出 ネット社会の基盤揺るがす問題
- 2018.04.12
- 情勢/解説
公明新聞:2018年4月12日(木)付
ネット社会の基盤を大きく揺るがす問題だ。
米インターネット交流サイト最大手のフェイスブック(FB)で、個人情報の流出が発覚した。ザッカーバーグ最高経営責任者は10日、米議会上院の公聴会で初めて証言し、利用者情報の保護に甘さがあったと認めて陳謝した。
この問題では、最大8700万人ものFB利用者の個人情報がデータ分析会社に不正に流出、2016年の米大統領選でトランプ陣営の選挙対策に使われたとされている。
FBを巡っては、米大統領選でのフェイク(偽)ニュースの拡散や、ロシア政府に近い団体による世論操作の広告掲載なども問題視されてきた。世界中で21億人もの利用者を抱えるFBの社会的責任と影響力を考えれば、運営方法が厳しく問われるのは当然である。
この点で指摘しておきたいのは、インターネットを利用する際に自分の個人情報がどう扱われるかについて、利用者の理解が必ずしも十分ではないということである。
例えば、FBの売上高のほとんどは、膨大な個人情報を活用した広告収入だ。ネットの利用状況を通じて収集した行動パターンや趣味などのデータを分析し、利用者の好みに合いそうな広告を表示して企業から掲載料を得ている。
FBは無料で利用できるが、その対価として利用者は個人情報を提供していることになる。
FBに限らず、インターネットサービスの運営者が個人情報をどう扱うかについては、利用規約に詳細に記されており、利用者には、あらかじめ同意することが求められる。
しかし実際には、膨大な字数と慣れない専門用語が続く利用規約を読まないまま、同意ボタンを押しているのが実情であろう。そこにつけ込もうとする悪質な事業者もいるのではないか。
サービスの運営者には、個人情報の保護に責任を持つことはもちろん、個人情報をどう扱うかについて、利用者に分かりやすく伝える努力が求められよう。
ネットは現代社会の重要なインフラ(社会基盤)である。利用者の信頼を損なうようなことがあってはならない。