e19年1月導入 快適な旅行環境整備へ国際観光旅客税

  • 2018.04.22
  • 情勢/経済
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公明新聞:2018年4月20日(金)付



文化財など外国語解説を充実
20年東京五輪 訪日客4千万人めざす



訪日客の増加をめざす政府は、観光施策の充実に充てる財源として、日本を出国する人から1000円を徴収する「国際観光旅客税」(以下、旅客税)を2019年1月に導入する。そのための国際観光旅客税法と、税収の使い道を定めた改正国際観光振興法が今月、それぞれ成立した。恒久的に徴収する国税の新設は1992年の地価税以来、27年ぶりだ。


出国時に1000円徴収


旅客税の課税対象者は2歳以上となる。日本人、外国人を問わず、出国1回に付き1000円が航空券代などに上乗せして徴収される。ただし、航空機の乗員や入国後24時間以内に出国する乗り継ぎ客などは対象外だ。

政府は、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年の目標として、訪日客数4000万人、買い物などで使う消費額8兆円などを掲げている。17年は2869万人、4.4兆円と、それぞれ過去最高を記録した。

しかし、課題も少なくない。例えば、訪日客の8割以上をアジア地域が占め、欧米豪地域は1割程度にすぎない。日本での滞在期間が長く、より多くの消費額が期待される欧米豪地域からの訪日需要を十分に取り込めていないのだ。また、訪日客は東京、名古屋、京都、大阪を結ぶ「ゴールデンルート」に滞在することが多く、地方に目が向いていない。

そこで政府は、外国人目線に立った受け入れ態勢の整備に力を入れる。こうした観点から、旅客税の税収を充てる分野は、改正国際観光振興法に基づき、(1)快適な旅行環境の整備(2)日本の多様な魅力に関する情報を入手しやすくする(3)体験型観光の満足度向上――の三つに定めた。18年度は、60億円の税収を見込み、観光庁のほか、法務省、環境省、財務省、文化庁の各予算に関連施策が計上されている。

具体的な施策を見ると、日本人の出帰国手続きの際に顔認証の技術を活用して本人確認する「顔認証ゲート」を本格導入する。これはパスポートのICチップに記録されている顔画像と、ゲートのハーフミラー内にあるカメラで撮影した顔画像を照合する仕組みで、所要時間はわずか10秒ほど。

顔認証ゲートは昨年10月、羽田空港で日本人の帰国手続きに限り先行実施していた。18年度は成田、中部、関西、福岡の各空港に導入し、出国手続きにも利用する。こうした合理化によって生じた入国審査官の余力を外国人の審査に充て、待ち時間の短縮につなげる考えだ。

また、「日本といえば、富士山や桜」といった典型的なイメージが強く、日本を旅行先の候補に挙げない欧米豪地域の人も多い。こうした外国人に狙いを定め、アクティビティー(旅先での遊び)や食、現代美術などを通じて、日本ならではの魅力を感じてもらうバーチャルツアー(訪日旅行の疑似体験)を観光庁などが作り、ウェブサイト(www.enjoymyjapan.jp)で2月から公開中だ。

今後、これらの動画を活用し、ユーチューブ(YouTube)やフェイスブック(Facebook)などのソーシャルメディア、現地テレビなどを通じて、世界への広告・宣伝を強化していくとしている。

このほか、多言語案内用のタブレット端末の整備、駅構内や電車内への無料Wi―Fi(ワイファイ)の設置、文化財や国立公園などでの外国語解説の充実などを行う。


公明、使い道の明確化促す


旅客税が既存施策の財源の穴埋めに使われないよう、政府は使い道に関する基本方針を昨年12月に定めている。

具体的には、充当する施策は、(1)受益と負担の関係から負担者の納得が得られる(2)先進性が高く費用対効果が高い(3)地方創生など重要な政策課題に合致する――の三つの考え方を基本とした。

公明党は国会質疑を通じて、旅客税が無駄遣いされたり、野放図な歳出拡大につながらないよう、使い道を明確化し、透明性を確保していくことを政府に強く求めた。

これに対して政府は、毎年度の予算書で旅客税を充てる施策・事業を明確化することや、予算の使い道に無駄がないかを有識者が公開で点検する「行政事業レビュー」を活用していく方針を示した。

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