e日米首脳会談 拉致、核・ミサイル問題で結束示す
- 2018.04.22
- 情勢/解説
公明新聞:2018年4月20日(金)付
安倍晋三首相とトランプ米大統領の両首脳が、米フロリダ州で会談した。6月初旬までに行われる予定の米朝首脳会談に向けて、日本側の主張をトランプ大統領に直接伝える貴重な機会となった。
特に、北朝鮮の核・ミサイル問題、そして日本にとって最重要課題である拉致問題を巡り、日米の強力な結束を示すことができたのは大きな成果である。
トランプ大統領は「拉致被害者が(日本に)帰国できるよう最大限努力する」と明言し、米朝首脳会談で拉致問題を提起すると約束した。問題解決に向けた同大統領の強い決意の表れといえよう。
また、両首脳は、北朝鮮に対して、核兵器と、あらゆる弾道ミサイルの完全、検証可能かつ、不可逆的な方法での廃棄を求めていく方針を共有した。
米国への直接の脅威となるのは、超長距離の射程を誇る大陸間弾道ミサイル(ICBM)だ。従って、米朝首脳会談では、ICBMの廃棄だけを北朝鮮に求め、米国には届かないが、日本を射程に収める短・中距離弾道ミサイルについては、取り上げられないのではないかと懸念する声が、日本国内にはある。
それだけに、全ての弾道ミサイルの廃棄を求めることは、日本の安全保障上の懸案の解決につながる。
ただ、北朝鮮は融和姿勢を強調しているが、非核化に向けて、現時点で、具体的な行動を何一つ起こしていない。それだけに、北朝鮮への最大限の圧力を維持し、非核化に向けた具体的な行動を促していくことで、日米両首脳が一致したことも重要である。
貿易を巡る協議では、日米両首脳が問題解決を先送りした感は否めない。米国の環太平洋連携協定(TPP)への参加を「最善」とする安倍首相に対し、トランプ大統領は「2国間の貿易協定がいい」と譲らなかった。鉄鋼とアルミニウムに高関税を課す米国の輸入制限措置の対象から、日本を除外することもなかった。
この点、茂木敏充・経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部代表による新たな貿易協議をスタートさせることで合意した意義は大きい。日米双方の利益になるよう実りある議論に期待したい。