eコラム「北斗七星」

  • 2018.04.25
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年4月25日(水)付



「日本人は将来の機械技術上の成功をめざす競争において、強力な相手になるだろう」。黒船を率いて日本に開国を迫った米国のペリーの予言だ。『ペリー提督日本遠征記』(角川ソフィア文庫)で知った◆江戸末期。「機械技術上」とは、いかにも古い表現だが、現代をも見通した慧眼には驚く。他から学ぼうとする日本人の志向と職人の手工技術に着目したらしい。ペリーが見た特性は、景況感、設備投資ともにプラスが続く日本の今も支えているようだ◆世界各国の高速鉄道計画でここ数年、採用が相次ぐ新幹線。快適性などに加え、忘れてならないのが騒音対策だ。高速でトンネルに入ると空気が押し縮み、大きな衝撃音が発生する。設計者は水に飛び込む際、衝撃を和らげるカワセミの嘴に着想を得て、先頭部をとがった形にした◆ミラーやプリズム、レンズなどのパーツに高度な技術が要求される一眼レフカメラでは、世界のほとんどを日本のメーカーが占める。時計の文字盤の夜光塗料は世界の80%が日本の一中小企業の製品だ。技術者らの力を結集した成果である◆文部科学省によれば、2016年度、人材が集う大学に投じた企業の研究資金総額は過去最高の848億円。「活力の根源になる人材を引き付けられない内向き志向の国に未来は開けない」(日経)。心して前へ進もう。(田)

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