e平和主義体現する9条1、2項は今後も堅持
- 2018.05.07
- 情勢/解説
公明新聞:2018年5月3日(木)付
公明党が憲法記念日アピール
きょうは、71回目の憲法記念日です。
日本国憲法が施行された1947年当時、国土は荒廃し物資も不足する苦しい戦後復興期でしたが、翌48年施行の「国民の祝日に関する法律」によって、5月3日が「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」と定められたように、国民は懸命に国造りを進めてきました。その結果、民主主義を定着させ、平和国家として世界からの信頼を広げ、経済大国として世界に貢献できる国となりました。
公明党はわが国発展の基礎となった日本国憲法を、優れた憲法として高く評価しています。憲法の国民主権主義、基本的人権の尊重、恒久平和主義の3原理は、「人類普遍の原理」というべきもので、現在わが国が直面している諸課題に対しても、乗り越えるための理念になり得ると考えています。3原理は将来とも変えるべきではありません。
こうした憲法の価値をさらに高めるためには、不断の努力で憲法の法規範を守り抜かなくてはなりません。
昨年来から、官僚による行政文書のずさんな管理が問題になっています。「国民共有の知的資源」と公文書管理法が定めている行政文書をおろそかに扱うことは、国民の代表である国会が担う行政監視機能の軽視であり、国民主権主義に反します。徹底して原因を究明し、再発防止を図る必要があります。
昨年7月に国連で核兵器禁止条約が採択され、新しい時代が始まりました。公明党は、この条約が核の非人道性を根拠として「核兵器は違法」との規範を初めて打ち立てたことを高く評価します。
唯一の戦争被爆国として核廃絶をめざす日本は、現実には日米安保体制の下、米国の「核の傘」にわが国の安全保障を依存しています。この中で選択すべき道は、条約に反対する核保有国と、条約を推進した国々との間にできた深い溝を埋めるための「橋渡し役」として、核軍縮を具体的に進める役割を担うことです。
核保有国、非保有国双方の有識者からなる「核軍縮のための賢人会議」を独自に設置した日本政府としては、同会議が提言したように、双方の対話を促進し、核軍縮の確かな方法を探る努力をすべきです。
公明党は、憲法も法規範である以上、新しい時代に対応した改正があってしかるべきと考えます。憲法の施行時には想定できなかった新しい価値観や、憲法改正により解決すべき課題が明らかになれば、公明党は、現憲法を維持した上で、必要な規定を付け加える形の「加憲」という方法を主張しています。
憲法9条1項、2項は、憲法の平和主義を体現するもので、今後とも堅持します。
9条については、2年前に施行された平和安全法制が、9条の下で許容される専守防衛のための「自衛の措置」の限界を明確にしました。この法制の整備により、現下の厳しい安全保障環境であっても隙間のない安全確保が可能になったと考えています。今大事なことは、わが国の平和と安全を確保するための、平和安全法制の適切な運用を積み重ね、国民の理解をさらに得ることと考えます。
また、改憲の手続きを定めた国民投票法についても、すでに公職選挙法が累次の改正で期日前投票や洋上投票など投票環境の改善を実現しており、国民投票法も改正してそのレベルに合わせることが不可欠です。
公明党は、憲法改正論議のあり方について、衆参両院の憲法審査会で議論を深め、政党間で幅広い合意を得ながら、国民理解の成熟を伴っていくことが重要だと考えています。公明党は引き続き真剣に憲法論議に臨んでまいります。
2018年5月3日 公明党