eコラム「北斗七星」

  • 2018.05.11
  • 情勢/社会

2018年5月11日



結婚式を前にした息子の写真を整理しながら気づいた。いつからか、まなざしが和らいでいる。「自己肯定感が低いのが気になります」という小学校の担任の言葉がよみがえる◆野球への熱中がきっかけだっただろうか。友人が増え、物事に意欲を示すことが増えた。だから中学受験に失敗して落ち込む彼に、「よくがんばった。君を誇らしく思う」と告げることができた。いまさらながら温かく見守ってくれた多くの大人たちに、感謝の念がこみ上げる◆日米中韓4カ国の高校生に、「心と体の健康に関する意識」を尋ねた調査(昨年秋実施)結果を見ると、日本の高校生は、自己肯定感が低いことが気になる。7年前の調査より改善しているものの、「私は価値のある人間だと思う」「いまの自分に満足している」と答えたのは4割ほど。他の3カ国の半分程度だ◆親や友人との関係は濃密だが、教師との関係はどうか。「学校に何でも相談できる先生がいる」と答えたのは3分の1。これも他の3カ国と大きな差がある◆子どもの自己肯定感の多くは、周囲の大人たちとの関係によって育まれる。日本の親は子どもを認め、ほめるハードルが高すぎる、という指摘もある。子どもたちの自信の種を、大切に育てたい。子育てへの反省も含め、改めてそう思った。(繁)

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