e日中韓首脳会談 半島非核化へ緊密な連携さらに

  • 2018.05.11
  • 情勢/解説

2018年5月11日



北朝鮮情勢が転機を迎えようとする中、多くの成果を得ることができた。

安倍晋三首相と中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領による首脳会談が、東京で開かれた。

中国首相は実に7年ぶり、韓国大統領も6年5カ月ぶりの来日である。長らく途絶えていた中韓首脳の来日が実現し、安全保障や経済など幅広い分野で両国と協力関係を構築できたことを評価したい。

最大の焦点は、史上初の米朝首脳会談を控え、3カ国が北朝鮮の非核化にどう関わっていくのかという点だ。

9日深夜に発表された共同宣言は、「朝鮮半島の完全な非核化にコミット(関与)している」との立場を再確認し、「核や弾道ミサイル計画を完全で検証可能かつ不可逆的な方法で放棄する」とした国連安全保障理事会の決議に北朝鮮が従うよう求めた。

朝鮮半島の完全な非核化への決意を3カ国の首脳が共有し、協調して行動することで一致した意義は大きい。今後は、非核化への具体的な道筋についても緊密な連携が求められる。

日本人拉致問題については、安倍首相が両首脳に協力を求め、共同宣言に「対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する」と明記された。

日中韓首脳会談の成果文書に拉致問題が盛り込まれたのは今回が初めてであり、特筆に値する。

米国が保護主義に傾く中、経済への対応も重要である。

共同宣言は、多国間による自由貿易推進を再確認し、日中韓自由貿易協定(FTA)や東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)の交渉加速化を明記した。世界の国内総生産(GDP)の2割を占める3カ国の連携は、世界経済の持続的な成長につながろう。

日中平和友好条約の締結から40周年を迎え、対中関係の強化も進めなければならない。日中首脳会談で、長年懸案だった、偶発的な軍事衝突を回避する「海空連絡メカニズム」の運用開始で合意できたのは大きな前進である。

中国の要請を受け、安倍首相は年内の訪中に応じた。首脳同士の相互往来をはじめ、多分野での交流を深め、良好な関係を築いていきたい。

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