e日中海空連絡メカニズム
- 2018.05.14
- 情勢/経済
2018年5月14日
偶発的な衝突回避へ
両首脳が合意 6月8日から運用開始
日中両政府は9日の首脳会談で、自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を避けるため、双方の艦船や航空機などが連絡を取り合う「海空連絡メカニズム」について、6月8日から運用を始めることで合意した。尖閣諸島周辺海域など中国公船の活動が常態化している中、公明党は同メカニズムを早期に構築し、偶発的な衝突を回避するよう、日中両国に粘り強く訴えてきた。
海空連絡メカニズムの交渉が開始されたのは、第1次安倍政権当時の2007年。11年越しの合意となった。
両国の防衛当局が覚書を交わした同メカニズムは、相互信頼の増進や防衛協力の強化とともに、不測の衝突を回避し、海空域での不測の事態が軍事衝突や政治・外交問題に発展するのを防ぐことを目的としている。
合意した主な内容は3点。一つ目は、日中防衛当局間の定期的な会合の開催で、毎年1回、局長級か局次長級の「年次会合」と課長級の「専門会合」を交互に主催。この会合では、連絡メカニズムの運用状況や技術的な改善策などについて協議する。
二つ目は「ホットライン」の開設。双方が急接近し衝突の恐れがあるなど、緊急性が高い場合に日中の防衛当局の幹部が連絡を取り合う。技術的な調整を行い、可能な限り早期に開設する。
三つ目は、自衛隊と中国軍の艦船や航空機が遭遇した場合の連絡方法。日本や米国、中国などが採択した洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準(CUES)の関連規定に沿うことなども確認した。
東シナ海では13年、中国艦船が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制レーダーを照射する事件が発生。14年には中国軍機が自衛隊機に異常接近するなど、緊張が高まる事態が相次ぎ、日中間の連絡メカニズムを早急に構築する必要性が指摘され続けてきた。
公明、早期構築を一貫して主張
公明党は、連絡メカニズムの構築を一貫して主張してきた。山口那津男代表は10年12月に訪中した際、同年9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件を踏まえ、中国共産党の王家瑞中央対外連絡部長(当時)との会談で「(偶発的な衝突などを)未然に予防し、仮に起こっても有効に解決する知恵とメカニズムを両国間につくる必要がある」と強調。13年1月の訪中でも、習近平中国共産党総書記(現国家主席)に直接訴えた。
このほか、15年2月の参院代表質問などで、日本政府に対しても早期運用を粘り強く働き掛けてきた。