e産後ケア 家事・育児支援を拡充

  • 2018.05.16
  • 生活/子育ての補助金・助成金

2018年5月16日



ヘルパー利用助成倍増

双子以上は40時間まで対象に

東京・品川区



東京都品川区は今年度から、産前産後の母子支援の一環として産後の家事や育児を支援してくれるヘルパーなどを利用する際の助成事業を大幅に拡充した。区では、妊娠・出産・育児の切れ目ない支援を行うための「しながわネウボラネットワーク」の整備を進めているが、助成事業はその一環で、区民から好評だ。

助成事業は、区内在住で生後6カ月までの子どもを育てている母親が対象。今回の拡充で、1時間につき、これまで1000円だったへルパーなどのサービス利用料の助成額が2000円に倍増した(上限20時間)。サービスを受けるに当たっての事業者との事前打ち合わせ費用についても、新たに助成対象に(1000円。1回のみ)。さらに育児中の子どもが双子以上の場合、助成を受けられる時間の上限を40時間に倍増した。


専門家(ドゥーラ)の援助 受けやすく


サービスの対象になるのは、区と提携した家事・育児ヘルパーを利用した場合だが、この提携ヘルパーには「ドゥーラ」の資格を持っている人が多い。区が同事業を開始したのは2016年度だが、家事代行に加え、育児や産後ケアについての知識や経験の豊富なドゥーラが好評で、多くの利用者から「もっと利用したい」との声が大きく、区議会公明党(若林広毅幹事長)の推進もあり、今年度からの大幅拡充につながった。

品川区では、この事業を含め出産や子育てへの支援事業が幅広く実施されていることもあり、区内の乳幼児人口の増加数が東京23区で2番目になるなど、少子化対策が成果を上げる形になっている。

ドゥーラを利用している斉藤明美さん(仮名)宅を訪ねた。斉藤さんは夫と長女、1月に出産した長男・真一くん(仮名)の4人家族。斉藤さんは出産後、区の制度を利用して初めてドゥーラを依頼した。訪問したドゥーラは石井はるえさん。斉藤さんとは、以前からの地域の知り合いでもある。「(石井さんに)産まれたらお願いするからねと言っていた」と笑う斉藤さんはこの日、午前10時から2時間、冷蔵庫にある食材を利用しての食事作りや家の掃除などを委ね、長女の卒園アルバムの原稿を書く間、真一くんの面倒を見てもらったりした。

食事作りは、産後間もない斉藤さんに配慮し、薬膳コンシェルジュの資格も持つ石井さんが、消化が良く、体に良いものや、作り置きの総菜料理に腕を振るった。「(区の制度拡充で)利用しやすくなる」と斉藤さんは笑顔で語る。


公明、活用を推進


区議会公明党の鶴伸一郎議員は、13年10月の区議会でドゥーラの存在を紹介。その後もドゥーラ関係者と意見交換を行い、妊産婦の福祉を重視する観点から、区議会の場で繰り返し産後ケアへのドゥーラなどの活用を訴えてきた。

ドゥーラ 出産する女性に寄り添い、生活に必要なさまざまな世話をする存在。語源はギリシャ語で「他の女性に寄り添い、支援する経験豊かな女性」。出産ドゥーラと産後ドゥーラがあり、産後ドゥーラは産後ケアや子育てについての専門知識を持ち、家事の代行や相談にも応じる。欧米では一般的な存在だが日本では一般社団法人ドゥーラ協会(宗祥子代表理事)の認定産後ドゥーラが現在、300人を超えたもののまだ少ない。

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