e改正バリアフリー法 役割増す市町村に国の支援重要

  • 2018.05.23
  • 情勢/解説

2018年5月23日



高齢者や障がい者が円滑に移動できる社会をめざす改正バリアフリー法が成立した。



12年ぶりとなる今回の改正は、急速な人口減少・少子高齢化に対応し、バリアフリー化を一段と加速させることが目的だ。障がい者が十分に社会参加できる共生社会の実現に向けた取り組みを、2020年東京五輪・パラリンピックの開催を機に、東京だけでなく全国各地で推進する点からも大きな意義がある。

主な改正点は、▽エレベーターの設置や職員を対象にした介助研修などの計画策定と進捗状況の公表を公共交通事業者に義務付ける▽高齢者や障がい者も参画しバリアフリーの取り組みを評価する協議会を市町村に設置する▽新たに導入する貸切バスや遊覧船もバリアフリー基準の適合対象とする―などだ。

特に注目したいのが、バリアフリー化に向けた「マスタープラン」の策定を市町村に求めている点である。

バリアフリーのまちづくりを進める上で課題となっているのが、施設単位での取り組みが先行し"移動の連続性"が確保されていないケースが少なくないことだ。

例えば、駅や公共施設はバリアフリー化されても、両者をつなぐ歩道が「点字ブロックがない」「幅が狭く車いすと人がすれ違うことができない」という状態では連続した移動は難しい。

このため、まず市町村が重点地域を設定し、一体的にバリアフリー化を実施する方針を示すのがマスタープランである。個々の事業は、このプランに基づいて計画的に進められる。衆院の参考人質疑で障がい者団体の代表は「全ての自治体でマスタープランが作られればバリアフリーが進む」と評価している。

ただ、市町村にはプランづくりに必要な人材やノウハウの面で差があることに目配りが必要だろう。国会審議で石井啓一国土交通相(公明党)が答弁しているように、ガイドラインの提示や先進事例の情報提供、作成経費の助成など国による支援が重要だ。

地方議会の役割も大きい。とりわけ公明議員にとっては、現在進めている「100万人訪問・調査」運動の成果を生かすチャンスであることを強調しておきたい。

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