e米韓首脳会談/北朝鮮の非核化追求 妥協せず
- 2018.05.24
- 情勢/解説
2018年5月24日
北朝鮮の非核化を妥協せず求めていく。その確固たる意思が改めて示されたと評価できよう。
米国のトランプ大統領は22日、ワシントンのホワイトハウスで韓国の文在寅大統領と会談し、6月12日にシンガポールでの開催が予定される米朝首脳会談で、先に核を放棄した後で見返りを与える「一括方式での妥結」を、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に要求する意向を表明した。
北朝鮮は、核実験の停止や施設の解体といった措置を実施するたびに、制裁の解除や経済支援などの見返りを得る「段階的解決」を望んでいるが、これを拒否した格好だ。
トランプ大統領は、すぐに核を放棄できなかったとしても「極めて短期間で」進めるべきだとも述べ、この条件が満たされなければ「(会談が)開かれなくても構わない」と北朝鮮をけん制した。
北朝鮮は、米国に対して、一方的に核放棄を求めるだけなら会談を中止すると主張するなど、強硬な姿勢を見せているが、譲歩することなく交渉を進めることが重要だ。
米国は、北朝鮮の非核化の原則として、従来の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)に代わり、「永久的かつ検証可能で不可逆的な非核化」(PVID)を掲げている。
CVIDは、現存する核施設や核兵器の解体、廃棄などが中心となる。一方で、PVIDは、将来的な核兵器開発も不可能にするため、これまでに得られた研究データの抹消や、ノウハウを持つ科学者の監視なども含める、より強い意味が込められている。この立場を貫いてもらいたい。
北朝鮮も、非核化に向けた具体的な行動を起こすべきである。同国北東部の豊渓里にある地下核実験場の廃棄を外国メディアに公表するというが、これには国際原子力機関(IAEA)などの専門家が立ち会っていないため、客観的な検証ができないのではないかという懸念がある。
北東アジアの核軍縮などを各国の専門家が話し合う、長崎大学主催の会合が、今月31日から開かれる。これに北朝鮮の専門家が初めて参加するのは、前向きな動きだ。こうした機会を生かして、日本も北朝鮮の非核化を促したい。