e県営住宅 子育て世帯の入居期間延長
- 2018.06.07
- 生活/子育ての補助金・助成金
2018年6月7日
せめて18歳になるまで...
一人の声から 公明県議が動き条例改正
茨城県
茨城県は未就学児がいる子育て世帯の県営住宅入居優先枠に関して、10年に制限してきた入居期間を子どもが18歳になるまで延長できるよう条例改正し、このほど対象世帯への通知を完了させた。優先枠での入居は2009年1月5日から開始されており、19年1月から順次退去を迫られることになっていた。「せめて子どもが18歳になるまで」。一人の声に真剣に向き合う公明県議の行動が実現へと導いた。
水戸市にある県営住宅に菅原絵利香さんが入居したのは、2010年1月。長男が3歳、次男が生まれて間もない頃で、夫と4人で入居した。2人の子どもが成長し、家計のやりくりが以前よりも大変さを増す中、14年10月に夫がくも膜下出血で倒れた。命は助かったものの、記憶の一部がなくなるなど後遺症が残り、これまで勤めていた会社からの退職を余儀なくされた。
現在、長男が小学6年生、次男は小学3年生。夫が実家で療養する中、子どもに寂しい思いをさせたくはないが、生活していくためには菅原さんが働く以外に道がないのが現状だ。
入居から10年の期限が刻々と近づき、今の住まいをいずれ出て行かなくてはならないことを子どもたちに伝えた。次男は「お友達と別れたくない」と泣き出した。そうした状況がますます菅原さんの不安を駆り立てた。「せめて、子どもが18歳になるまで住むことができれば......」。16年10月、先々の事が心配で仕方なかった菅原さんは、すがるような思いで公明党の高崎進県議に相談した。
県担当者「指摘されて必要性痛感」
高崎県議は、切実な訴えを親身になって聞き、事の深刻さを理解した。17年3月の県議会予算特別委員会で、19年1月から順次到来する入居期限後も子育て世帯が安心して生活できるよう、県営住宅の制度拡充を提案した。
この提案が県を動かした。県担当者は「高崎県議に指摘されて初めて期限延長の必要性を痛感した」と語り、他の自治体の取り組みを調査して、制度の改正を検討したと説明する。さらに「公営住宅の子育て世帯枠は、少子化対策の役割を担っている。だからこそ希望者が長くいられるようにするのが本来の目的」と話した。
今回延長が実現できた背景には、子育て世帯の優先枠制度の導入当時と比べ県営住宅入居を巡る環境の変化がある。募集枠に対する入居希望者が当初より大幅に減少し、子育て世帯が長く住み続けることが、他の希望者の入居を大きく妨げないようになったのも大きな要因だった。
菅原さんは「先行きが不安な中で、本当にほっとしている。子どもたちも転校しなくて済むことを喜んでいる」と安堵の表情を浮かべていた。