e成人年齢18歳
- 2018.06.18
- 情勢/解説
2018年6月16日
若者が一層活躍できる社会に
明治以来、約140年ぶりに「大人」の定義を変える歴史的な法改正である。
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が13日、成立した。施行は4年後の2022年4月1日。周到に準備を進め、若者たちが存分に力を発揮できる社会を築いていきたい。
法改正により、18、19歳でもクレジットカードやローンの契約が親の同意なしでできるようになる。有効期間10年のパスポートのほか、医師や公認会計士といった専門資格の取得、性同一性障害の人の性別変更の申し立てなどが18歳から可能になる。
成人年齢の引き下げは、若者の社会参加の時期を早め、「大人」としての自覚を高めることにつながる。社会に新たな活力をもたらすことも期待できる。世界は今や「18歳成人」が主流だ。
まして日本は、少子高齢化が急速に進んでいる。先行して実現した18歳選挙権も含め、将来を担う若者が政治、経済、文化といったさまざまな分野で、より主体的、積極的に活躍できる環境を整える意義は大きい。
成人年齢の引き下げに伴い強く懸念されているのは、悪質商法などによる消費者被害であろう。
この問題について政府は対策を強化する方針だ。既に、恋愛感情に乗じた「デート商法」などによる不当な契約の取り消しを可能にする改正消費者契約法が今国会で成立している。また、20年度までの3年間を集中期間として、若者向けの消費者教育を強力に推進する。
このほか、成人式のあり方や、成人と未成年が混在する学校現場での対応など、積み残された課題もある。
公明党の主張で設置された省庁横断の連絡会議で解決策をしっかりと検討し、着実に取り組んでもらいたい。
誰しも成人年齢を迎えたからといって、直ちに完成された大人になるわけではない。社会や周りの先輩たちによるサポートがあってこそ、大人としての自覚が育まれるのではないか。
社会全体で若者の力を伸ばしていく――。今回の法改正を、こうした環境づくりを進める契機にしていくべきである。