eコラム「北斗七星」
- 2018.06.18
- 情勢/社会
2018年6月18日
テレビドラマを見ていて「ハッ」とするようなセリフに出くわすことがある。次のもその一つ。少し前の刑事ドラマだった。ある登場人物が「組織は大切だ。守らなければならない」と言う◆「人の代わりは幾らでもいる。組織のために奴を切り捨てろ」とでも続くのだろうと思っていたら外れた。「組織をつくっているのは人だ。だから一人一人を大切にしなければならない」と◆読売新聞(4日付)の「安心の設計」というページで職場トラブルの記事を読みながら、このセリフのことをふと思い出した。職場という組織も個人の支えがあってこそと思ったからだ◆昨年、友人が職場トラブルに巻き込まれた。夏のシーズンに向け4月に1年契約で採用されたが、夏が過ぎるとまず、現場で仲間はずれにされた。そして半年近い契約期間を残し退職を迫られた◆その理由に驚いた。身に覚えのないミスの責任を負わされていた。代わりの若手もすでに用意されていた。友人は疑問点を書き出し回答を求めたが、「答える必要なし」とされた◆やむを得ず弁護士に交渉を依頼すると企業は態度を一変させ、退職勧奨をすぐに引っ込めた。「自らに非のあることを知っていたからさ」と友人。<紫陽花やきのふの誠けふの嘘>(正岡子規)。こんな企業では、たまらない。(六)