eコラム「北斗七星」
- 2018.06.25
- 情勢/社会
2018年6月23日
沖縄県糸満市の平和祈念公園には沖縄戦で亡くなった人の名前を刻んだ「平和の礎」が建立されている。今年も新たに58人が追加され、総数は24万1525人となった◆平和の礎には毎年この時期、故人を偲ぶ多くの遺族が足を運ぶ。石板に刻まれた名前を指でなで、手を合わせて、時には涙を流しながら思い出を語りかけている。戦争がなければ失われなかった命。二度と戦争をしてはならないと決意せずにはいられない◆「ありったけの地獄を集めた」と言われる沖縄戦。米軍機が飛び交い、艦隊が押し寄せ、雨のように砲弾が降り注がれた。本土防衛のための時間稼ぎ作戦は、住民を巻き込んだ地上戦へと進展。県民の4人に1人が亡くなった◆あれから73年。沖縄には在日米軍基地の約7割が集中し、今も米軍機がごう音を響かせ飛んでいる。先日はF15戦闘機が沖縄本島沖に墜落した。県内の米軍機墜落は本土復帰(1972年)以降だけで48件。米軍による事件・事故も後を絶たず、地中には遺骨や不発弾が眠る。ふと考える。戦没者たちに今の沖縄はどう映り、何を思うだろうか◆きょう23日は、沖縄戦の組織的戦闘が終結したとされる「慰霊の日」。沖縄では全戦没者追悼式が開かれ、鎮魂の祈りに包まれる。不戦を誓い、平和とは何かを考える一日としたい。(治)