e新体操 ブルガリア選手団に啓翁桜

  • 2018.06.29
  • 情勢/国際

2018年6月29日



雪を生かして開花を調整
山形・村山市のNPO法人



東京五輪・パラリンピックを桜花で飾ろう――。こうした夢の実現をめざして、日夜研究を重ねている市民団体がある。山形県村山市のNPO法人「袖崎雪室研究会」(安達茂理事長)である。同研究会は、全国屈指の豪雪県にあって、逆転の発想で雪の利用に取り組んでいる。今月には、2年後の"本番"に備え、ブルガリアの新体操ナショナルチームを、雪で遅咲きさせた「啓翁桜」で歓迎した。

ブルガリアのみなさん、頑張って! 24日、村山市民体育館で行われたブルガリア選手団の公開演技会の開会式の席上、市立袖崎小学校の児童たちが啓翁桜の花束を贈呈した。選手たちは笑顔で受け取り、友好ムードに花を咲かせた。

この日は、個人、団体の選手12人が華麗な演技を披露し、市内外から訪れた観衆を魅了した。また、市立楯岡中学校新体操部と共演。同部部長の斎藤美佳さん(3年生)は「世界トップレベルの人たちと一緒に演技する貴重な経験ができました。指先から、つま先までの美しい動きをはじめ、たくさんのことを学べました」と喜びを語っていた。

村山市は、東京五輪においてブルガリア共和国のホストタウンとして、昨年から新体操のナショナルチームの事前キャンプを受け入れている。今年は2週間滞在し、ハードな練習と市民との交流に大活躍した。


「東京五輪を飾りたい」


催しに彩りを添えた啓翁桜。そもそもは中国系のミザクラにヒガンザクラを接ぎ木したもので、出荷量は山形県が日本一である。寒さの厳しい冬に枝を切り出し、温室ハウスで加温し、開花の時期を調整する。正月の迎春花として親しまれる、いわば冬の花だ。

さらに枝を冷蔵し、東京五輪開幕の7月に開花させようとのプロジェクトを進めているのが「袖崎雪室研究会」のメンバーである。

同会は、地域住民や行政、農協、企業が一体となって、利雪・克雪をめざそうと1992年に結成。冬期間に降り積もった雪を貯雪庫に入れ、貯蔵庫との間で冷風を循環させて低温を保つ施設を使い、2600俵のコメ、50俵のソバを冷蔵。ともに低温で熟成されることからうま味が増し「雪室米」「ゆきむろそば」として人気を集めている。

啓翁桜の"夏の開花"は昨年に実証済み。今年は、2月ごろ桜の枝をビニールパイプに入れ、6月に取り出し、日光の代わりにブラックライトを当てるなどで、先日のブルガリア選手団への贈呈の時期と合わせることに成功した。


公明市議も全面的に協力


赤塚信一事務局長は、「特産の桜を東京五輪に訪れた世界中の人たちに見てもらいたい」と決意。同会の一員でもある公明党の秋葉新一市議も「雪にも負けずの心意気で、五輪を盛り上げたい」と語っていた。

秋葉市議は、同研究会の設立当時からメンバーとして雪の有効利用に奮闘。市議会にあっても雪の活用や東京五輪を啓翁桜で飾る取り組みを訴えるなど強力に推進してきた。

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