eTPP関連法成立 農家の不安和らげる努力怠るな
- 2018.07.04
- 情勢/解説
2018年7月4日
米国を除く11カ国が署名した環太平洋連携協定(TPP)の新協定「TPP11」の発効に必要な関連法が成立した。
協定自体は既に国会承認されており、関連法である畜産物価格安定法、特許法、著作権法など10法の改正により、国内手続きを事実上終えた。協定は署名した11カ国のうち6カ国が国内手続きを完了すれば60日後に発効する。
米国の離脱により一時は頓挫しかけたTPPが、早期発効に向け大きく前進したことを歓迎したい。
TPP11は、農作物や工業品にかかる関税を撤廃・削減するほか、ビジネスのルールを統一することが柱だ。日本の消費者にとっては食品をはじめ輸入品が安くなり、企業は海外での投資や取引を行いやすくなるなど、その恩恵は大きい。
政府の試算では、TPP11の発効により、日本の実質GDP(国内総生産)を約8兆円押し上げ、約46万人の雇用創出が見込まれるという。日本経済のさらなる成長につなげたい。
一方、安価な輸入品の流入が国内産業に及ぼす影響は小さくない。とりわけ農家の不安を解消する手だてが求められる。
この点を重く見た公明党の主張により、関連法に農家の経営安定化策が盛り込まれたのは大きな成果である。
例えば、牛や豚などを飼育する畜産農家が赤字に陥った際、赤字分を補填する「経営安定対策事業」(マルキン)の仕組みを法制化した。基金の国庫負担割合を拡充し、赤字分の補填率を現在の8割から9割に引き上げる措置を、今年度だけでなく恒久化する。
また、国産砂糖の安定供給を確保する「糖価調整制度」の対象に、ココアなどの製造に食品メーカーが使う「加糖調製品」を追加する。
関連法とは別だが、公明党の推進により実現した「収入保険制度」が2019年1月から始まることも強調しておきたい。ほぼ全ての農産物を対象に、収穫減少や価格下落に伴う収入の減少を補填する制度だ。
政府には、こうした施策の周知を進めると同時に、一層の振興策に取り組むことにより、農家が希望を持てるよう努めてほしい。