e災害公営住宅建設へ  待ち遠しい"ついのすみか"

  • 2018.07.17
  • 情勢/経済

2018年7月14日



熊本地震2年3カ月 災害公営住宅建設へ
仮設団地の集約進む
熊本・大津町



熊本地震の発生から、きょうで2年3カ月。応急仮設住宅(仮設団地)は、早いところで先月から、原則2年間の入居期限を順次迎えている。こうした中、熊本県大津町は、県内で初めて仮設団地を8カ所から6カ所に集約。町内の立石(8戸)、引水(7戸)両仮設団地を解体し、自宅再建が困難な被災者向けの災害公営住宅の建設を進める。公明党の豊瀬和久町議はこのほど、集約先の一つである室仮設団地(33戸)を訪れ、住民と懇談した。=熊本地震取材班


移転費補助が後押し 経済、精神面で不安も


「"ついのすみか"となる災害公営住宅の完成が待ち遠しい」。立石仮設団地から単身で室仮設団地に引っ越した松本和代さん(77)は、切実な思いを吐露した。

すでに引水仮設団地は解体され、立石仮設団地も9月に解体工事が予定されている。両団地の住民は、今年5月までに町内2カ所の仮設団地への転居を終えた。

町は引水、立石の両団地に身を寄せていた住民に対し、跡地に整備される災害公営住宅に優先的に入居できるよう配慮している。さらに、集約に伴う引っ越し費用に対する町独自の補助も、住民が町の要請を受け入れ、協力する契機となっている。

引水仮設団地から室仮設団地に家族で引っ越した柿本佳紀さん(46)は、「自宅再建が困難だったので、こうした町の対応は本当にありがたい」と、町の仮設団地の集約に快く応じたことを語った。



県すまい対策室によると、県は16市町村に応急仮設住宅4303戸を整備。現在、自宅再建や災害公営住宅などへの転居が進み、1000戸を超える空き室が発生しているという(5月末現在)。そのため県内の被災市町村では、住民の孤立などを防ぐために、仮設住宅の集約に向けた検討が進められている。

一方で、引っ越し費用や、住環境の変化などによる精神的負担が大きいことから、転居をためらう住民も少なくない。松本さんは「私たち高齢者にとって、住まいの変化はストレスが大きく、心身に影響が出やすい」と苦しい胸の内を明かす。



仮設団地の集約には、行政と住民の協力が欠かせない。一方、集約に伴う転居は、コミュニティーの再構築だけでなく、通院や買い物など日常生活に支障を来すなどの課題が山積している。懇談の中で、住民は「移動手段が不便になった」「顔見知りが減って寂しい」などと窮状を口にした。

熊本地震から2年3カ月。恒久的な住まいの確保に向けた被災者のニーズ(要望)は、刻一刻と変化している。公明党は引き続き、一人の小さな声に耳を傾け、寄り添い続けていく。

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