e学校生活と熱中症 子どもの命守る視点で対策を

  • 2018.07.23
  • 情勢/解説
2018年7月21日


列島各地で猛烈な暑さが続く中、学校現場においても児童や生徒が熱中症とみられる症状を訴え、病院に搬送される事例が相次いでいる。
17日には愛知県豊田市で、校外学習に参加した小学1年生の男子児童が、教室に戻った後に意識を失って救急搬送され、重度の熱中症である熱射病で亡くなった。
子どもは体温の調節機能が発達しておらず、熱中症になりやすい。今回のような痛ましい事故を二度と起こさないために、炎天下での屋外活動は原則中止にするなど、賢明な判断が必要だ。
事故があった当日、愛知県には高温注意情報が出されており、豊田市では校外学習が行われた午前10時以降、環境省が公表する「暑さ指数」が最も高い「危険」となっていた。同指数の「危険」と「厳重警戒」は、「すべての生活活動で」熱中症になる危険性があるとされるレベルである。
学校側は校外学習を中止しなかったことについて「判断が甘かった」としたが、同様の事故は全国のどの学校でも起こり得る。文部科学省は学校での熱中症対策を徹底するよう通知した。ちょうど夏休み期間に入るが、各学校で取り組みを見直してほしい。
運動を行う部活動や屋外での学校行事のあり方、水分・塩分の補給環境など熱中症を予防する態勢について、あらためて検討してもらいたい。自治体や教育委員会も、きめ細かい情報提供をはじめ、学校の取り組みをしっかりサポートすべきである。
夏休みの間は保護者の役割が重要となる。子どもが参加する地域行事などでは主催者側の目配りも欠かせない。無事故を心掛けてほしい。
亡くなった児童の教室にはエアコンが設置されていなかった。今回の事故を受け、豊田市は小学校へのエアコン設置を前倒しすると発表したが、他の自治体でも設置を急がなければならない。
文科省によると、公立小中学校のエアコン設置率は教室でさえ41.7%(昨年4月1日現在)で、しかも自治体によって大きな開きがある。
学校は、災害時には地域住民の避難所にもなる施設だ。「命と健康を守る」ことを最優先に、着実に設置を進めてもらいたい。

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