eコラム「座標軸」

  • 2018.07.23
  • 情勢/社会
2018年7月22日


「『伝える』と『伝わる』は違う」。ジャパネットたかた創業者の髙田明氏は言う。自著『伝えることから始めよう』(東洋経済新報社)では、伝わるためには「相手が自分を見ている目線で自分を眺めてみる」ことを訴える。災害時の情報発信については特に重要な視点といえる◆今回の西日本豪雨では、気象庁は早くから警戒を呼び掛け、「特別警報を出す可能性がある」と予告した。だが、住民に切迫感がどこまで伝わったか。情報を受ける側に立った検証が必要だ。「情報は、送り手側と受け手側が同じレベルになっていないと生きない」という原則がある◆災害心理学の専門家は「気象庁の記者会見が『見慣れた光景』となりつつある」と指摘する。「『数十年に一度』という言葉も慣用句のようになり、通じにくくなっている」とも◆行政が出した防災無線には「雨の音が激しく、聞き取れなかった」との証言が相次いだ。「避難指示」と「避難勧告」の違いが「よく分からない」との声が半数以上に上るとの調査もある◆情報量の整理、インパクトのある伝え方、発信のタイミング、分かりやすさなど検討すべき課題は多い。危機感を共有できる形で情報を住民に届け、いち早く避難に結び付けなければならない。

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