e西日本豪雨3週間 真備町(岡山・倉敷市)は今

  • 2018.07.27
  • 情勢/気象
2018年7月27日


「前を向かなければ」 
今後の住まいに不安


西日本豪雨で岡山県などに大雨特別警報が出て、きょうで3週間となった。岡山県内の避難者数は約2600人で、このうち倉敷市が1836人(26日午後2時現在、県の発表)。そのほとんどが、大規模な川の氾濫で51人が亡くなった倉敷市真備町地区の住民だ。同地区の避難所は当初、暑さ対策や高齢者の通院支援などの課題があったものの、徐々に改善しつつある。一方、地区内では至る所に災害ごみがあふれ、被災住居などの復旧が進まず、被災者は先の見通しを立てられずにいる。

生活再建へきめ細かな支援急務

「まさか災害に遭うとは」。真備町地区で被災した小玉清美さん(72)は、つぶやいた。豪雨により堤防が決壊した小田川近くのアパートの1階で、一人で生活していた小玉さん。7日の早朝、浸水に気付き、上の階へ逃げたことで救われた。現在は住んでいた地域に近い避難所の市立薗小学校に身を寄せる。
部屋は天井付近まで浸水。水に漬かった家財道具は、ボランティアの手で、外に運び出された。「着の身着のままで出てきたから、思い出の品も全て漬かった」と顔を曇らせる。
県が建設予定の仮設住宅に申し込むつもりだが、元々いたアパートに戻りたい気持ちもある。家財道具の買い替えなど、経済的な面でも不安が残る。それでも「今回の災害にも、何か意味のある試練なのだと思って前を向かなければ」と語った。
真備町地区の市立二万小学校にある避難所で生活する藤井麻紀さん(49)は、日中、自宅の片付けに追われている。自宅は2階まで水に漬かり、「全壊」判定。姉の渡邊美和さん(51)にも助けてもらいながら、残った家財を洗い、乾かす作業を進める。
藤井さんは被災前、二つのパート先で働いていたが、どちらも被害に遭い再開の見通しが立っていない。2人の子どもは、大学受験生と高校2年生。パート収入などでやりくりしていた教育費をこれからどうするか、先行きが見えていない。
住む場所にも悩む。8月から、県が居住費を負担する「みなし仮設住宅」で過ごすことにしたものの、期限は2年間。「みなし仮設の後、賃貸にするか、家を再建するか。それ以上に、今は目の前のことで頭がいっぱい」と話していた。
岡山県や倉敷市は、公明党岡山県本部災害対策本部(本部長=高橋英士県議)の要望などを受け、被災者の住居確保や生活再建のきめ細かな支援を急ぐ。24日には、市内に仮設住宅を建設すると発表したほか、みなし仮設の十分な確保も進める。
高橋本部長は、「引き続き被災者に寄り添い、復旧へ全力を注ぐ」と述べた。

ペット同伴 可能に
公明後押し 大切な家族、避難所内へ

対策が急がれた取り組みの一つに、ペットを連れた避難者の受け入れがあった。
「ペットは無理」。浸水した自宅2階から、自衛隊ボートで救助された藤原明美さん(43)は7日夕方、避難してきた市立二万小学校で、愛犬「ちゃ~助」との室内同伴を断られた。
ちゃ~助は、藤原さんの大切な家族の一員。厳しい暑さの中、やむなく外気にさらされた校舎階段の踊り場で寝起きすることに。
暑さ、虫、砂ぼこり、人通り......。耐え難い環境の中、訪ねてきた公明議員が市執行部に掛け合い、17日から教室で過ごせるように。市は、ペット同伴者用のスペースを備えた避難所を増やした。「一緒に室内で過ごせるようになって良かった」。藤原さんは安堵の表情を見せていた。

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