e地域の"ストーリー"世界へ
- 2018.07.31
- 情勢/国際
2018年7月31日
広がる「日本遺産」認定
文化庁 東京五輪へ100件めざす
2020年の東京五輪・パラリンピック開幕まで、あと2年。文化庁は、増加する訪日外国人観光客が日本を周遊し、地域の活性化に結び付くようにするため、「日本遺産」を認定している。15年度の創設以来、現在まで43道府県で67件が認定された。このうち18年度に追加されたのは13件。20年までに100件程度の認定をめざす。
日本遺産は、自治体が地域の城や遺跡、伝統芸能、文化といった歴史的魅力や特色を一つの"ストーリー"としている。世界遺産登録や文化財指定がそれぞれの保護を目的としているのに対し、日本遺産は地域の文化財や遺産を物語として一体的にブランド化し、国内外への発信を強化することが狙い。
例えば、おとぎ話「桃太郎」の伝承が多数存在する岡山県の岡山、倉敷、総社、赤磐の4市は今年、「『桃太郎伝説』の生まれたまち」として認定を受けた。桃太郎のモデルとされる吉備津彦命に退治された鬼の居城と伝えられる史跡「鬼城山」(総社市)や、名産の「岡山の桃」「きびだんご」などでストーリーを構成している。
また、江戸時代に各地の繁栄をもたらした北前船の寄港地・船主集落からなる「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間」(昨年認定)は、今年5月に認定自治体が15道府県38市町まで拡大し、地域活性化や自治体間交流の取り組みがさらに深まっている。
認定された地域に対しては、文化庁が「日本遺産魅力発信推進事業」として支援を行う。多言語ホームページの作成やトイレ、ベンチ、説明板の設置、ガイドの育成などについて、認定後3年間をめどに財政支援される。
日本遺産の創設については、公明党文化芸術振興会議が14年、東京五輪を「日本各地の多様、多彩な文化芸術の基盤を計画的、着実に強化する機会」と位置付け、政府に提言。公明党は、地方創生の取り組みと、多彩な文化芸術の行事を行う「文化プログラム」も積極的に推進している。
公明の提案受け創設
党文科部会長 浮島智子衆院議員
日本各地には、地元の人ですら気付いていない魅力がたくさんあります。
私は2013年、東京五輪・パラリンピックの招致が決定した直後に、安倍晋三首相に対して「世界遺産があるなら、日本の素晴らしい文化や伝統を日本遺産として認定してはどうか」と提案しました。
訪日観光客も増加する中、20年に向けて日本遺産を通して各地の素晴らしい伝統や文化を世界に発信し、盛り上げたいです。