e液体ミルク 待望の解禁。自治体は備蓄検討を

  • 2018.08.10
  • 情勢/解説
2018年8月10日


子育て負担の軽減はもちろん、災害時の備えにもつながる待望の"解禁"である。
厚生労働省は、乳児用液体ミルクの製造・販売を可能にする規格基準を定めた改正省令を施行した。国内にはこれまで安全性を担保する基準がなかったが、企業が製造・販売できるようになった。公明党が強く主張してきたものだ。
液体ミルクは常温で保存でき、容器に吸い口を装着すればすぐ飲める。粉ミルクのようにお湯で溶かしたり哺乳瓶の洗浄や消毒をする必要はなく、海外では広く利用されている。
国内で普及すれば、夜中や外出時も授乳が格段に容易になる。親にとってどれほど助かることか。孫育てに奮闘する祖父母にも朗報であろう。
改正省令では「保存性のある容器に入れ、120度で4分間加熱殺菌」などの製造基準を設けた。こうした基準を踏まえ、メーカーは開発を本格化させる。
液体ミルクが市販されるようになるまで1年以上かかる見通しだ。安全性を最優先にすべきであることは当然として、一日も早い商品化を期待したい。
大規模な自然災害が相次いだことも液体ミルクに対する注目度を高めた。清潔な水や燃料の確保が難しい災害時に赤ちゃんの命をつなぐ貴重な栄養源となるからだ。実際、東日本大震災や熊本地震ではフィンランド製品が救援物資として被災者に届けられ、母親らから歓迎された。
既に東京都は液体ミルクを災害時に調達するため流通大手と協定を結び、海外メーカーから緊急輸入する体制を整えている。西日本豪雨では、この協定を生かし愛媛県や岡山県倉敷市に提供された。
各自治体は、災害時の備蓄品に国産の液体ミルクを加えるよう検討してはどうか。
液体ミルクに関しては、粉ミルクに比べ割高で、海外では2~3倍の価格差がある。国内でも価格が粉ミルクの倍以上になると想定されている。消費者にとって気になるところだ。少子化が進む中でメーカーの採算がとれるかとの課題も指摘されている。
この点からも自治体が備蓄を進める意義は大きい。一定の市場規模の確保や、価格の抑制にもつながろう。

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