eコラム「北斗七星」
- 2018.08.20
- 情勢/社会
2018年8月18日
いつ頃までだったか。豆腐や納豆、みそ汁は朝の食卓の顔だった。最盛期ほどではないが、今も根強い人気を誇る副菜である。食材となる大豆は、英語で「ソイビーン」(醤油を作る豆)といわれ、海外でも重宝されているという◆原産地は中国だが、アメリカ大陸に伝わり、今や米国が世界最大の生産地である。生みの親と育ての親といったところか。『世界史を大きく動かした植物』(PHP研究所)に教わった◆その米中両国が今月下旬、貿易摩擦を巡って事務レベルで協議するという。双方は7月、相手国からの一部輸入品に高関税を課し、来週23日に追加制裁を発動する構えを崩していない。知的財産権の侵害や先端技術を巡る問題に端を発した対立だが、その影響は広い分野に及ぶ◆米農業界最大の輸出品である大豆も例外ではない。7月の輸出価格は前月比で約14%も下落した。農家にとっては、とばっちりを受けた格好だ。トランプ政権は農家への巨額の支援策を発表したが、心から歓迎されるだろうか。一方、中国にとっても、大豆を飼料にした豚肉や食用油が値上がりすれば、高関税が「もろ刃の剣」となりかねない◆世界第1、2の経済大国の応酬が長引けば、景気の混乱は避けられまい。両国には好調な経済を生み、育てていく責任があるはずだ。(明)