eコラム「北斗七星」
- 2018.08.27
- 情勢/社会
2018年8月25日
演技が受けず当たらない役者を「大根役者」と呼ぶ。消化がよく、食あたりすることがめったにない大根の特徴を拝借した表現である◆「君たちいいよな、大根だから」と役者を叱咤したのは映画監督の小津安二郎だ。なぜ大根だからいいのか、きょとんとしていると、「芋ならとうにふやけている」とオチをつけ、場を和ませたらしい。中村明著『笑いのセンス』(岩波現代文庫)にある◆大根にとっては迷惑だろうが、食卓には馴染み深い。煮てよし。すりおろして焼き魚と食べてもうまい。ところが、最近まで高値が続いた。「大根1本がスーパーのセールで198円。買うのをやめた」と主婦。普段、買い物には行かないものの、聞けば、当初は5割ほど値が張ったという◆片や酢の物に合うきゅうり。「袋詰めは高く、58円で1本買いした」と。22日公表された食品価格動向調査によれば、きゅうりは1キロ当たり前週比13%値上がりし、平年比では約4割高に。トマトは11%値を上げ、平年より3割近く高かった◆大根は長雨、きゅうりやトマトは産地の天候不順が影響した。国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費。今年1~3月期は「野菜価格の高騰などが消費の足を引っ張りマイナスに」(毎日)。酷暑によるエアコン使用で電気料金も負担増となりそう。家計への目配りが必要だ。(田